いわん太さん。施工管理の仕事内容ってよくわかりません。
施工管理の仕事は多種多様にあるからね。
- 施工管理の仕事内容っていまいちわかっていない
- 色々職種があるから違いを詳しく知りたい
- 施工管理の実情を知りたい
施工管理と一言でいっても、色々な情報があり実際に何をする仕事なのかイマイチ想像できていない人は多いはずです。
僕は設備施工管理の現場所長を経験し、現在は発注者として働いています。
本記事では、施工管理のビジネスモデルから業種別の仕事内容、施工管理の実態など施工管理と発注者の両方を経験した元現場所長が徹底解説します。
この記事を読むと施工管理の本質的な仕事内容が理解でき、施工管理で働くべきかも判断できます。
施工管理の仕事内容を理解するためには、施工管理のビジネスモデルを知る必要があります。
施工管理の仕事内容
早速、施工管理の仕事内容を教えて下さい。
ビジネスモデルを知ればだいたいの仕事内容はわかります。
施工管理の仕事内容はビジネスモデルを見ればわかる
施工管理の仕事内容はビジネスモデルを掴んでおくと理解できます。
なぜなら、会社はボランティアではなく利益をもたらすことで成り立っているからです。
パン屋を例にして、ビジネスモデルを読み解いてみましょう。
パン屋は商品であるパンを売って収益を得ます。
パンを作るには、材料費、人件費、お店の賃料などがかかるので、パンを作る費用(原価)にプラスした値段で商品として販売することで利益を生み出すことができます。
パンをたくさん作り、たくさん売ることでどんどん利益を計上するのがパン屋のビジネスモデルです。
よって、パン屋の仕事内容はおいしいパンを作ることだったり、接客してパンを売ること、パンを売るための宣伝などになります。
施工管理も何をして利益を出す仕事なのかの概要だけでも押さえておけば仕事内容も理解できるようになります。
施工管理のビジネスモデルは工事の最適化
施工管理のビジネスモデルは、施主から受注した工事を最適化し利益を生み出すモデルです。
なぜなら、施工管理は自分たちで作業することが仕事ではなく、工事を管理する仕事だからです。
施工管理のビジネスモデルは、施主から受注した工事を最適化し、各業種の施工会社にお金を払い施工を依頼し、その差額が利益になるビジネスモデルです。
自分たちでは工事できず外注するしかないので、利益を最大にするには工事の最適化は欠かせません。
※本当はもっと細かい部分がたくさんありますが、わかりやすいようにざっくりした解説にしていますのでご了承下さい。
工事の最適化は、設計と協力して設計図を見直し建物機能そのものの効率化(VE)したり、各工事計画を精査し、なるべく工期や人手がかからないようにすることが挙げられます。
加えて、日々の工事をスムーズに行うための段取りも大切な仕事です。現場作業員を上手く指揮することで、手戻り作業や作業が止まらないようにコントロールすることも最適化の一つです。
実際に作業する前の建物機能や工事計画の効率化などでコストを圧縮して自社の利益をもたらすことが施工管理のビジネスモデルであり、施工管理の本質的な仕事であることを覚えておきましょう。
施工管理の4大管理
施工管理の4大管理といわれるQDCSが施工管理の主な仕事です。
施工管理の4大管理
- Q(品質管理)
- D(工程管理)
- C(原価管理)
- S(安全管理)
Q(品質管理)
主な業務内容:施工要領書、品質証明書管理、写真撮影、検査データ整理、完了確認、完成検査など
D(工程管理)
主な業務内容:工程表作成、仮設計画作成、他業種の進捗把握など
C(原価管理)
主な業務内容:予算管理、発注管理、出来高確認、業者選定、資材管理など
S(安全管理)
主な業務内容:安全書類作成、機材点検、危険予知運動、健康チェックなど
この4つを管理することに加え、E(環境管理)もここ数年で大切な管理要素になってきました。
建設現場が環境に配慮することは社会において重量な役割となりつつあります。SDZsなど環境に関する関心は至るところで聞いているかと思います。また、現場でトラブルや事故が発生した場合の対応など、QDCS以外の仕事も数多くあります。
施工管理の具体的な仕事内容はQDCSEであると覚えておきましょう。
施工管理の主な業種と仕事内容
では、業種別の施工管理の仕事内容を解説します。
こんなにいっぱいあるんですね。
まず、建設業には29種類の分野があります。その中でも大きな枠として5つの施工管理技士について紹介します。
建設業の種類
- Q(品質管理)
- D(工程管理)
- C(原価管理)
- S(安全管理)
1.土木一式工事、2.建築一式工事、3.大工工事、4.左官工事、5.とび・土工・コンクリート工事、6.石工事、7.屋根工事、8.電気工事、9.管工事、10.タイル・れんが・ブロック工事、11.鋼構造物工事、12.鉄筋工事、13.舗装工事、14.しゅんせつ工事、15.板金工事、16.ガラス工事、17.塗装工事、18.防水工事、19.内装仕上工事、20.機械器具設置工事、21.熱絶縁工事、22.電気通信工事、23.造園工事、24.さく井工事、25.建具工事、26.水道施設工事、27.消防施設工事、28.清掃施設工事、29.解体工事
1.建築施工管理技士
建築施工管理は、一般的な住宅から規模の大きなビルまで幅広い建築物の建設工事を管理する仕事です。
ゼネコンや、ハウスメーカーが主な就職先にあります。
2.土木施工管理技士
土木施工管理は、道路や橋、トンネルなど公共インフラなどの土木工事の施工を管理する仕事です。
ゼネコンや、道路舗装や地盤改良なども主な就職先になります。
3.電気工事施工管理技士
電気工事施工管理は、その名の通り電気工事の施工を管理する仕事です。
電力会社系列の電気施工管理会社が主な就職先になります。
4.管工事施工管理技士
管工事施工管理は、空調、水道などダクト、配管の施工を管理する仕事です。
いわゆるサブコンと言われる業種で空調、衛生、消防設備が主なジャンルになります。
5.通信工事施工管理技士
通信工事施工管理は、電話、インターネット、その他システムインフラを構築する工事の施工管理をする仕事です。
昔は電話回線が主流だったのが、現在はインターネット回線やシステム機器の進捗によって需要が高まってきています。
その他にも建設機械施工管理技士や造園施工管理技士などもあります。
施工管理の年収
施工管理の年収はどうなんですか。
平均より高いです!
建設業界の年収は、全業種の平均年収と比べ比較的高い傾向です。
平均給与は433万円(正社員496万円、非正社員176万円)に対し、施工管理の平均年収は推定468万円といわれています(2022年9月求人ボック給料ナビ参照)
なぜ平均より高いかというと、シンプルに労働時間が長いからです。
労働時間が長ければもらえる給料が高いのは、当たり前と言えば当たり前です。
注意したい点は、時給換算にするとあまりよくないということです。
僕が一度時給換算で計算したとき、マクドナルドのバイト求人の時給と同じくらいで愕然としたことがあります。
大企業のゼネコン、サブコンであれば、年収1000万円も夢ではありません。施工管理の年収は、全業種の平均年収と比べ高いです。ただし、年収が高いのは労働時間が長いという意味もあるので注意しておきましょう。
施工管理の残業時間
施工管理の残業時間はどうでしょう?
残業は全業種トップクラスです…
施工管理の残業時間は、全業種トップクラスです。
なぜなら、仕事量に見合った施工管理の人数を配置できないからです。
配置できない理由は、現場予算との関係があります。
現場で一番かかるコストは人材なので、施工管理の担当をたくさん配置してしまうと現場予算が尽きてしまいます。なるべく最小限のメンバーで構成するのが基本的な考え方なので、施工管理はいつも忙しいです。
ちなみに施工管理は、2019年に改正された労働基準法の36協定による残業規制の適用除外となっています。
この適応除外は医師や運送業といった社会インフラと言われているような業種が対象なので、建設業がいかに長時間労働かわかるのではないでしょうか。
2024年には全面的に労働基準法の改善期間が終わるので残業時間は減るメリットはあるかもしれませんが、サービス残業が横行するデメリットも考えられます。
施工管理は残業時間が多い職種ということは、まぎれもなく事実なので必ず押さえておきましょう。
施工管理の一日の流れ
施工管理の1日の流れが知りたいです。
僕が施工管理2年目の生活を紹介します。
施工管理の一日の流れ
- 0:00~5:30 睡眠→起床
- 6:00~7:30 移動
- 7:30~8:00 現場到着、新規入場者対応
- 8:00~10:00 朝礼→作業指示→現場巡回
- 10:00~12:00 事務所作業(次の手配など)
- 12:00~13:00 昼→昼寝
- 13:00~15:00 現場打ち合わせ→次の日の指示
- 15:00~16:00 現場確認
- 16:00~17:30 作業終了確認
- 17:30~20:00 事務所作業
- 20:00~20:30 夕飯
- 20:30~22:00 事務所作業
- 22:00~23:30 移動→帰宅→睡眠
もちろん現場の時期や規模、会社によっても違いますが、平均するとおおむねこんな感じだと思います。
笑っちゃうかもしれませんが、施工管理の一日の流れは日中は現場の対応、夕方から事務所作業というのが基本的なルーティンになります。
実際、帰宅できずに現場で寝泊まりするのもザラにあります。
なかなか厳しいスケジュールですが、これが施工管理の現実です。
施工管理のキャリアパス
施工管理のキャリアパスは、転職を念頭に置いたキャリアプランを決めるのがよいです。
なぜなら、国家資格など取得し技術力を高めればどんどんキャリアアップすることができる時代だからです。
例えば、1級2級施工管理技士を取得すれば、建設会社では引く手あまたです。よい条件の会社に転職することができれば、若くしてステップアップすることも可能です。
僕は、1級施工管理技士と現場代理人を経験し、金融機関のファシリティマネジメント職に転職し活躍の場を変えました。
施工管理の経験を生かし異業種にキャリアチェンジする場合も、営業職だったり、発注者支援などの業務があります。
自分の実力がつけば、希望するキャリアを歩める時代になったので転職を前提としたキャリアパスを考えておくことをオススメします。
施工管理きつい、やめとけと言われる理由
施工管理の業界はきつい、やめとけと言われます。
いくつも理由はありますが、大きく分けて4つの労働条件が他業種と比べて厳しいため、きつい、やめとけと言われるのだと考えます。
施工管理がきつい理由
- 労働時間
- 労働環境
- 人間関係
- 仕事内容
上記の条件の根本となるのは、現場での人員不足が挙げられます。
現場に人数を確保できないので一人当たりがやらなければいけない仕事量が膨大になり、上記の4つの要件が複合的にマッチしてきつい仕事だとなってしまいます。
僕も現場監督を10年近く経験し、建設現場で働くことはきつくないよ。とは口が裂けても言えません。
施工管理がきつい、やめとけと言われるのは、他業種より厳しい労働条件が要因です。この事実は、どの職種でも変わらない共通認識です。
施工管理は女性でもなれるがきつい
女性でも施工管理者になれますか?
もちろんなれますが、きつい面もあります。
施工管理の仕事内容は男性女性同じ
施工管理の仕事内容として男女の差はありません。
なぜなら、施工管理は作業などをする力仕事が仕事ではないからです。
施工管理の仕事は、職人さんが滞りなく仕事が行えるように調整することが大きな仕事です。
むしろ、段取りや仕事を覚えるスピードなど女性の施工管理職が男性より優秀だと言われているケースもあります。
施工管理としての仕事内容に差はありません。
施工管理の女性はきつい
女性施工管理がきつい面もまだまだあります。
なぜなら、職場環境として整っていない現場が多いからです。
女性用のトイレは、形式上あるが実際は男性も使っているとかそもそも現場にない場合もあります。
また、女性特有の結婚、出産などのライフイベントがあると、本社勤務などになるケースも多いです。さすがに妊娠しているか体で現場にでるのは危険ですからね。
施工管理の女性は男性に比べて、環境面だったり、ライフイベントがあるときつくなる可能性があるので注意が必要です。
施工管理未経験でもなれる理由
未経験でも施工管理になれますか?
最初はみんな未経験だから、ぜんぜん大丈夫です。
人手不足
施工管理は圧倒的に人手不足です。
特に若手人材は、どの企業も喉から手が出るほどほしい存在なので、スキルがなくてもやる気さえあれば、よほどの大手企業じゃない限り問題なく採用されるでしょう。
特に施工管理はきつい仕事なので、若手がすぐ辞めてしまう傾向もあるので、若手は超干されます。
もし未経験だけど施工管理をやってみたいという人がいたら、ぜひチャレンジしてみましょう。
働きながら専門スキルがみにつく
施工管理は、未経験でも働きながら専門スキルや知識を身に着けることができます。
なぜなら、毎日現場で何から工事が行われているので、実際にどんな作業をしているのか身近で体感することができます。
資格を勉強する際も現場経験があれば、用語の意味などはある程度理解できますし、逆に勉強したことを現場で確認することもできます。
施工管理は未経験でも専門スキルがつくからおすすめです。
資格取得に学歴が重要になってくる
未経験でも大丈夫と説明してきましたが、注意点もあります。
それは、資格獲得に学歴は非常に重要だということです。
なぜなら、1級施工管理技士は学歴によって取得できる年数が違うからです。
大学卒でも、指定学科であれば3年の実務経験があれば試験に合格すれば取得可能ですが、指定学科以外であれば4年6ヵ月と1年半の違いがありますし、高校卒業の場合だと指定学科でも10年以上の実務経験が必要になります。
未経験で施工管理を目指す場合は、自分の学歴で1級施工管理技士が何年目で取得できるか気にしておいた方がよいです。
その他の建築系の資格であれば、こちらの記事を参考にしてみて下さい。
施工管理に向いているか判断する方法
施工管理に向いてるか確認するには自己分析をしてみることをオススメします。
なぜなら、施工管理は向き不向きがはっきりする仕事なので、自分の強みが施工管理の仕事に生かせない場合、やめておいたほうがいいからです。
具体的には施工管理に必須な7つの項目に当てはまっているかを自己分析を行い確認してみて下さい。
施工管理がきつい理由
- コミュニケーション能力
- リーダーシップ
- スケジュール力
- 冷静さ
- 誠実さ
- 忍耐力
- ポジティブさ
施工管理に向いているかは、自分の強みが施工管理の仕事に生かせるのか自己分析をしてみましょう。
本格的に自己分析したい方はコチラの記事を参考にしてみて下さい。
施工管理への転職する方法
施工管理へ転職する方法はいくつもありますが、まずは自己分析を行い、転職サイトに登録することをおすすめします。
いきなり転職エージェントではなく自己分析や転職サイトである理由は、転職サイトは気軽に始めることができるからです。登録も簡単にできますし、気に入った求人があれば簡単に応募できます。
まだ転職するかどうか迷っているとか、施工管理だけではなく、違う業種も候補である場合は、転職サイトで情報収集してみたほうが視野が広げることができます。
転職エージェントを利用する場合は、ある程度転職する意思が固まってからでいいと思います。
転職エージェントの場合、登録するとすぐ面談をセッティングされて、そのまま転職活動がスタートするのですぐ転職する場合はおすすめです。
施工管理でホワイトな働き方は皆無
最後に事実をお伝えすると、施工管理でホワイトな働き方を求めるのは無理だと思っています。
なぜなら、人材を投入できるコストがかけられないからです。
仕事量を減らすには2パターンあります。それは、人を増やして分担するか、やる仕事自体を減らすことです。
施工管理は品質や安全管理の観点から、仕事量を極端に減らすという魔法のやり方はありません。そのため、仕事量を減らすには人材を投入するしかないのですが、なかなか難しいのが各社の現状です。
DXは盛んに叫ばれていますが、実用段階かと言われればまだ時間はかかると思います。
そのため、現時点で施工管理でホワイトな働き方をするのは限りなく不可能に近いです。
詳しくはコチラの記事を参考にしてみて下さい。施工管理にホワイト企業はあるのか、徹底的に解説しています。
まとめ
ではまとめです。
施工管理の仕事内容は、工事の最適化です。
なぜなら、工事を最適化することが施工管理のビジネスモデルであり、収益の源だからです。
工事を最適化するために、QDCSEを管理するのが具体的な仕事内容になります。
施工管理は女性や未経験でもなることはできますが、そもそも残業時間も長くきつい仕事であることは事実です。
きつい仕事ですが、施工管理は給与もいいですし、くいっぱぐれることのないやりがいのある業種です。
施工管理に興味があるなら、しっかり自己分析をし自分の強みが施工管理で生かせるのか確認した上で、施工管理を始めてみましょう。
では、また。
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